高速道路の暫定2車線道路における正面衝突事故の新聞記事等が多く見受けられるようなりました。
一般的な対策として、中央分離帯を設けるためには、事故時の通行の妨げとならないように幅員の確保が必要となります。その結果、多額の設置コストが必要となり、そういった点がワイヤロープ式防護柵の開発背景にあります。
ワイヤロープ式防護柵は、たわみ性防護柵のうちケーブル型防護柵に属しますが、日本国内ですでに普及しているガードケーブルと異なり、支柱強度が低いので、車両衝突時に容易に変形し、主にワイヤーロープの張力で受け止め、車両乗員の衝撃を緩和します。また、支柱とワイヤロープが一体的な構造となっており、表裏がなく、支柱が設置できる空間があれば、容易に設置・撤去が可能なため、既存道路への設置や、狭い幅員の分離帯用として使用することが有利となります。
現在、2車線道路の中央分離帯に一般的に用いられているラバーポールは車両の突破を防止する機能はありません。中央分離帯用ワイヤロープ式防護柵は安全性に優れ、また支柱径が細いため省スペースでの設置が可能です。
車両が衝突した際に中間支柱が変形して倒れ、車両をワイヤロープで受け止めて衝撃を緩和し、安全に誘導する構造になっています。ワイヤロープ式防護柵は、衝突時の乗員安全性を確保する高い衝撃吸収能力を有しています。
事故等により車線が塞がれた場合、ワイヤロープを緩めて中間支柱を取り外し、片側交互通行にすることで交通を確保することができます。早期に交通を開放することにより渋滞の緩和、追突事故の抑止等の効果が期待されます。
中間支柱はスリーブ構造を採用しており、破損した場合、支柱を抜き取り新しいものと交換してワイヤロープを調整することで工事が完了します。従来時間を要していた復旧を短時間で完了することができます。
現況では、県道・市町村道に関しての運用は見込まれませんが、ワイヤロープ式防護柵の特徴を理解し、今後の参考知識としてください。