この春、立て続けに起きた通学路での悲惨な交通事故のニュースには、ただただ胸を痛めるばかりです。それと同時に交通安全施設業に携わる者として理想と現実のギャップに大きな虚しさを覚えるところであります。私たち交通安全専門業者の責任は、無防備な子どもたちを交通事故から守るための安全施設整備が更に進むよう提案や啓蒙活動に努力してゆくことにあるものと考えます。カラー標示による通学路の明確化や防護柵設置による物理的な保護策などを更に進め、通学路の安全の必要性を広く社会へ訴えることで「地域の目」が子どもたちの安全に注がれるように努力を続けてまいります。
自治会等のご意見を拝聴させて頂くと、通学路での通勤車両との接触の危険性を指摘するご意見が多く見受けられます。時間帯とルートが重なることで事故発生の危険性は高まります。また、信号交差点のショートカットや渋滞回避のために幹線道路から生活道路を使用するケースが多くみられ、これらが事故の危険性を更に高めているものと考えられます。我々専門業者は勿論のこと、一般の企業様においても社員の通勤ルートを今一度見直し、通学路を並走する場合の安全確認や速度抑制などを徹底することも社会貢献の一面として大変重要なことではないでしょうか。
車社会である昨今、快適に走行できる道路環境は欠かせないものであります。しかし「人」が優先される環境下では速度を抑制させる施策がとられるべきあり、そのひとつに「ゾーン30」という考え方があります。この考えは警察庁をはじめ各県警察本部が取り組んでおられるもので、生活道路を含む歩行者の多いエリアを区切り「ゾーン30」として道路標識や路面標示等で速度抑制を図る目的で推進されています。愛知県でも平成23年度から名古屋市内をはじめ各所において積極的に取り組まれております。
ゾーン30を示す標示
ゾーン30を示す標識
車が存在する以上、交通事故は無くならないかもしれません。しかし、その数を少しでも減らす努力を続けていくことは、車を利用する者として当然の責務であります。私たち愛知県協会では、通学路の安全対策をハード面で支えると同時に交通安全運動事業などを通して「思いやり運転」の励行を続けてまいります。相手を思いやる気持ちはスピードの抑制に繋がります。事故の被害は時速30キロ以下を境に大きく軽減されるというデータも報告されています。多くの県民の皆様が「思いやり運転」を励行して頂くことで死亡事故ワースト1という異常な事態からの脱却が可能になるものと信じ期待を致します。